GC-IRMS


ガスクロマトグラフ-同位体比質量分析計(GC-IRMS: Gas Chromatograph - Isotope Ratio Mass Spectrometer)は,有機化合物や,その一部の元素の安定同位体比を測定する装置です。
(1) 試料の導入と個々の雪化合物の分離を行うGC部
(2) 有機化合物をCO2, N2, またはH2ガスへ変換する反応炉
(3) 加圧系(GC)と真空系(IRMS)を接続するスプリットシステム
(4)導入されたガスの安定同位体比を測定するIRMS部
で構成され,研究対象の有機化合物や元素に応じて,以下に示すように様々な構成で運用されます。
 
※当研究室では,感度・精度・安定性,及び拡張性を大幅に向上させる改造を施しています。詳しくはこちら
 
 

(a) 窒素を含まない有機化合物の炭素同位体比を測定する場合

 

有機化合物は,燃焼炉でCO2・H2Oに分解され,透水フィルターでH2Oを除去した後,CO2がIRMSに導入される。
※ CO2とH2Oは,共にイオン化されると,HCO2+(m/z 45)を生成するため,IRMS導入前にH2Oを必ず除去する必要がある。透水フィルターは,光に弱いため,遮光して運用し,古くなったら交換する。
 

(b) 窒素を含む有機化合物の炭素同位体比を測定する場合


上記(a)に加え,還元炉を設置する。有機化合物は,燃焼炉でCO2・H2O・NOxに分解され,その後,NOxを還元炉でN2ガスに変換する。透水フィルターでH2Oを除去した後,CO2とN2がIRMSに導入される。
※ N2O, NO2は,CO2の同位体と同じ質量数を持つため,N2に還元する必要がある。
 

(c) 窒素同位体比を測定する場合


上記(b)に加え,CO2を除去するための液体窒素トラップを設置する。
※ CO2は,イオンフラグメントにCO(m/z 28)を持つため,CO2の除去が必要になる。

 
(d) 水素同位体比を測定する場合


有機化合物は,熱分解炉でH2・COに分解され,H2・COがIRMSに導入される。
※ 新品でない還元炉が設置されていると,H2が,CuOと反応してH2Oになってしまう。また,透水フィルターではH2も除去されてしまう可能性があるため,還元炉・導水フィルターは必ず系から外しておく。