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GC-IRMSの利用と分析依頼

 

当研究室のガスクロマトグラフ-同位体比質量分析計(GC-IRMS)を用いたアミノ酸の安定窒素同位体比測定は,北海道大学のオープンファシリティに登録されており,国内外の大学・研究機関のみならず,企業や個人の誰もが利用することができます。
アミノ酸の安定窒素同位体比測定の他,脂質(バイオマーカー)の安定炭素・水素同位体比の測定も可能です。また,GC-IRMS用に前処理済みの有機化合物を持ち込む場合には,アミノ酸,脂質のみならず,様々な有機化合物の測定(水素・炭素・窒素同位体比,酸素同位体比は除く)が可能です。GC-IRMSの利用を希望する方は,e-mailもしくは電話にて,力石(ychikaraishi_AT_lowtem.hokudai.ac.jp,011-706-5472)または滝沢(takizaway_AT_lowtem.hokudai.ac.jp, 011-706-5486)にご相談ください。
 注: 安定酸素同位体比に関しては,国際的に認められた(有機化合物の)標準物質が存在しないため,いかなる試料に関しても,測定を受け入れていません。
  

料金表

セルフ分析と委託分析の2つの方法があります。

  • セルフ分析: 利用者に当研究室に来て頂き,利用者自身がGC-IRMSを動かして,同位体比分析を行う方法で,試料の前処理も含めて研究室(ファシリティ)を使用した時間で,料金が発生します。
  • 委託分析: 利用者の試料を,当研究室のスタッフが測定(前処理を含む)する方法で,4日間,5日間のセット料金になります。また,利用者が前処理した試料を,利用者の希望に添って,当研究室のスタッフが測定する,という利用方法もあります。
 
セルフ分析


  初めて利用する方で,使い方の講習が必要な方には,初回講習(10:00-12:00, 13:30-18:30の合計8時間)を行います。初回講習を受けずに利用し,GC-IRMS等に損傷を与えた場合には,修理費の実費を負担して頂きます。
 
委託分析

 

 
 
 
8試料まで同時に行うことができますので,1試料でも8試料でも同じ料金になります。
「4日」は,8試料の測定がギリギリ収まる日数になりますので,研究室のスタッフのみで分析を行います。一方で,「5日」は,8試料の分析が余裕をもって行える日数になりますので,スタッフに加えて,博士研究員や学生と共に分析を行います。「4日」と「5日」では,料金が大きく異なりますが,前者は,分析のみの料金,後者は,分析に加えて,次世代の技術者(博士研究員や学生)を教育する費用が含まれていると理解して下さい。次世代の技術者の教育を支援して頂ける方や,研究資金に余裕がある方は,「5日」で依頼して頂けると嬉しいです。
 

受託分析(4日,5日)で,準備していただく試料 

一般的に,アミノ酸の安定窒素同位体比測定には,タンパク質量(乾燥重量)で約1.0mgの試料量を準備し,そのうちの0.1〜0.2mgを分析に用います。0.1mg以下の試料に関しては,いくつかの試料を混ぜるなどして,できるだけ1.0mg(最低でも0.1mg)以上になるように準備して下さい。
殻,骨,土壌,堆積物などの試料は,イオン交換処理やその他の精製処理が必要なため,委託分析「4日,5日」は,利用できません。
 

前処理方法と測定可能なアミノ酸

前処理は以下の方法で行います。

  • 12M 塩酸で加水分解(110℃, 12時間)
  • n-ヘキサン/ジクロロメタン(3/2, v/v)で3回洗浄し,脂質成分を除去
  • メタノールを加え,窒素ガスを吹き付け,乾燥
  • 塩化チオニル/イソプロパノール(1/4, v/v)でエステル化(100℃,2時間)
  • 塩化ピバロニル/ジクロロメタン(1/4, v/v)でピバロニル化(100℃,2時間)
  • ピバロニル-アミノ酸-イソプロピルエステル誘導体を,n-ヘキサン/ジクロロメタン(3/2, v/v)0.3mLで,抽出

分析可能なアミノ酸は以下の8種類です。
アラニン,グリシン,バリン,ロイシン,イソロイシン,グルタミン酸,フェニルアラニン,ヒドロキシプロリン
ただし,実際に測定可能かどうかは,含有量や,GCクロマトグラム上での夾雑物(不純物)ピークとの分離状況によります。また,グルタミンは加水分解でグルタミン酸になりますので,上記のグルタミン酸の同位体比は,グルタミンのα位窒素も含みます。
 

使用する分析装置と測定の確度・精度

  • ガスクロマトグラフ: Agilent 7890B
  • 導入法: PTV
  • GCカラム: Agilent Ultra-2 (50m, 0.32mm, 0.52um)
  • オートサンプラー: Gerster MPS
  • インターフェイス: Thermo GC Combustion III (Oxidation and Reduction furnaces)
  • 同位体比質量分析計: Thermo Delta V
  • 標準物質(Isotopic reference materials): Ala, Gly, Val, Leu, Nle, Asp, Met, Gly, Phe, Hyp (Indiana大学, Shoko Science社より購入)
  • 確度 (mean of cap-delta): 0‰ in general
  • 精度 (mean of 1 sigma): 0.4-0.8‰ in general

 

分析に必要な日数

おおむね,3ヶ月です。 
 

論文等の著者の扱い

委託分析業務のみで,測定者の名前を著者のリストに入れる必要はありません。ただし,謝辞等を利用して,同位体比測定の責任が当研究室にあることを明記して下さい。また,得られた測定結果に関して,測定者や研究室のメンバーが,著者のリストに入るべき十分な議論を行った場合には,著者のリストに入れて下さい。
 

2020年,1月1日