平成9年度の成果報告

  1. 研究実施の概要
  2. 研究実施内容
  3. 研究実施体制
  4. 招聘した研究者等
  5. 主な研究成果の発表
  6. ワークショップ等
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  1. 研究実施の概要

    本研究の最重要課題は、平成 10 年度から三年間実施するロシア船を用いたオ ホーツク海現場観測である。平成 9 年度は、そのための準備にほとんどの時 間を費した。これ以外にも本戦略基礎研究の中に位置づけている、日本領海内 の観測、例えば砕氷船「そうや」を用いた冬季海氷域現場観測 (第一管区海上 保安本部水路部との共同観測)、北大水産学部・地球環境研との共同での係留 観測、なども実施した。

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  2. 研究実施内容

    ロシア船を用いたオホーツク海における大気・海洋観測が、国際的に大きく評 価されるようなものにするために、本研究の研究組織のメンバーで徹底した scientific discussion を繰り返し行った。その一つとして、平成 9 年 11 月 20 - 21 日北大低温研で本研究に関するシンポジウム (21 の研究発表) を 開催した。これには日本側メンバー全員が参加し、活発な建設的議論に基づい て、本研究の全体的な骨組みが作られた。

    また、本研究の実施にあたって約 8 名からなるコアメンバーを構成し、ワシ ントン大学のライザー教授やロシア関係者との研究打ち合わせは勿論、他の重 要課題についても、基本的にはこのコアメンバーを中心とした会議で決定した。

    本研究の重要研究課題である、オホーツク海の海氷の実態を把握するためにロ シア船を用いた観測の外、砕氷船「そうや」を用いた冬季海氷域現場観測やリ モートセンシングによる海氷研究も実施している。「そうや」による本格的な 観測は平成 8 年から毎年 2 月に実施しているが、平成 9 年度の観測 (平成 10 年 2 月) 結果についてはまだ解析中である。

    近年、オホーツク海の海氷勢力は弱まってきており、平成 8 年 2 月の観測で も氷厚 20 - 30 cm の海氷が中心であった。ところが、平成 9 年 2 月の観測 では、少なくとも南部海域の海氷勢力は近年に無く強く、氷厚 70 cm - 1 m の海氷が広く覆っていた。この対照的な海氷勢力の下での大気・海洋・海氷観 測から非常に興味深い結果が得られており、平成 9 年度の観測結果とも併せ ていくつかの論文にまとめ公表する予定である。

    一方、オホーツク海全域の海氷については衛星観測データを用いた解析を行っ ている。 1970 年代以降、人工衛星搭載のマイクロ波放射計による観測によっ て、海氷密接度の分布とその変動についてはほぼ明らかになってきた。しかし、 海氷がそこで形成したものか他から漂流してきたものかの区別も出来ない。だ から、海氷がどのように漂流してきたかも分からないし、漂流速度そのものも 我々は知ることが出来ない。

    このような厳しい現状の中で、我々はいくつかの方法を用いて上で挙げた課題 を克服する試みをしてきた。一つは季節海氷域用のアルゴリズムをオホーツク 海に適用し、氷のタイプを識別することで現場結氷か移流かの区別が可能になっ た。次に、NOAA AVHRR の何時間か経過した 2 枚の画像を用いて、漂流速度を 求める試みをした。つまり、 2 枚の画像に窓画像を配列し、窓画像内の輝度 分布パターンの移動量から面相関法を用いて漂流速度を算出する事に成功した。 いずれも新しい試みであり、これらを基に今後いくつかの興味深い現象が明ら かになっていくものと期待される。

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  3. 研究実施体制 観測グループ

    氏名

    所属

    役職

    担当する研究項目

     若土 正曉

     大島慶一郎

     深町  康

     三宅 秀男

     滝沢 隆俊

     水田 元太

     S. Riser   

     Y.Volkov  

     安田 一郎

     見延庄士郎

     竹内 謙介

     立花 義裕

     S. Varlamov

     河村 公隆

     中塚  武

     大河内直彦

     池原  実

     渡辺 修一

     A. Tkalin

     斎藤 誠一

     榎本 浩之

     S. Martin

     草島知加子

     北大低温研

     北大低温研

     北大低温研

     北大水産院

     海科技セ

     海科技セ

     UW

     FERHRI

     東大理院

     北大理院

     北大低温研 

     東海大文明研 

     九大応力研 

     北大低温研

     北大低温研

     北大低温研

     北大低温研

     北大地環院

     FERHRI

     北大水産院

     北見工大工

     UW

     北大低温研

     教授

     助教授

     助手

     助教授

     主任研究員

     特別研究員

     教授

     所長

     助教授

     助教授

     教授

     講師 

     助教授 

     教授

     助教授

     助手

     COE研究員

     助教授

     主任研究員

     助教授

     教授

     教授

     科学技術振興事業団

    総括

    海氷域海洋物理観測

    係留観測準備

    係留観測準備

    海氷データ解析

    海氷域海洋物理観測

    留観測係準備

    海洋観測航海準備

    海洋データ解析

    海洋データ解析

    海氷域大気観測

    大気物理観測準備

    気象データ解析

    大気化学観測準備

    海氷域海洋化学観測

    海洋化学観測準備

    海底堆積物コア分析

    海氷域海洋化学観測

    化学観測準備

    衛星データ解析

    衛星データ解析

    衛星データ解析

    研究補助事務

    UW:ワシントン大学 FERHRI:ロシア極東水文気象研究所

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  4. 招聘した研究者等

    氏名 (所属、役職)

    招聘の目的

    滞在先

    滞在期間

    Y. Volkov (FERHRI, 所長)

    A. Tkalin (FERHRI, 室長)

    観測航海の打ち合わせ他

    観測航海の打ち合わせ他

    東京、札幌

    東京、札幌

    10.3.29 - 10.4.2

    10.3.29 - 10.4.2

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  5. 主な研究成果の発表
    1. 論文発表
      Kimura, N. and M. Wakatsuchi, Sea-ice advance processes in the Sea of Okhotsk, J. Geophys. Res., 103, 1998 (in press).
    2. 学会発表
      国内 7 件 海外 1 件

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  6. ワークショップ等

    月日

    名称

    場所

    内容

    参加人数

    備考

    9.11.20 - 9.11.21

    戦略的基礎研究計画発表会

    北大低温科学研究所

    オホーツク海における大気・海洋・海 氷・古環境研究計画

    約50人

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