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オホーツク海に迫る −ロシア海洋観測船クロモフ号による航海日誌

若土正暁: 北海道大学名誉教授
はじめに;
約 20 年近く前に、それまで永年の夢であった、オホーツク海ほぼ全域における日露米国際共同による海洋観測航海を、ロシア観測船・クロモフ号を用いて実施した。これは、1999 年と 2000 年、その海全体が、海氷野で広く覆われる前後の年、二回にわたって実施した観測航海の日々を綴った“航海日誌”である。今頃になって公にする後ろめたさは多少あるものの、それまで、全く「未知の海」だったオホーツク海のベールを初めて剥がし、その後の研究に大きく発展させることに貢献した、我々の“処女航海”で得た貴重な体験を綴った、この日誌を世に残しておく意義は、この期に及んでも、十分にあると判断した。海は、とんでもなく広大で、深く、果てしのない存在である。我々にとっての未来における、計り知れない可能性を秘めた研究対象であるが故に、今後も、新たな冒険的研究が、次々に生まれてくるに違いない。本航海日誌が、それらを担う若者達にとっての、ささやかな「道標(みちしるべ)」の一つになってくれることを強く願っている。
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