Climate System Research Group

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                                      English webpage

科研費プロジェクト

基盤研究(A)一般、R2-R6年度、研究代表

+5℃まで温暖化が進行する過程における南極氷床融解のふるまいと特性の解明

研究目的の概要:南極氷床が温暖化に対して敏感であることが明らかになり、温暖化の進行による海面上昇に対する危機感が高まっている。最新のIPCC特別報告書では将来の海面上昇予測が大幅に上方修正され、最も温暖化が進行するシナリオによれば300年後に海面が数メートル上昇するという。この上方修正は南極氷床融解量の見積もりの変更によるものであり、現在「温暖化が進行した場合にどの段階でどのような速度で南極氷床融解が進行しうるのか?」が海面上昇予測における核心的な「問い」になっている。本研究では、国際深海科学掘削計画(IODP)において西南極ロス海で昨年掘削された最新の海底堆積物コアを用い、現在より全球平均気温が+1˚Cから+5˚C(海面が+5から+40mまで上昇)温暖であった時代における南極氷床の融解過程を100年スケールの解像度で復元し、+5˚Cまで温暖化が進行する過程における南極氷床融解のふるまいと特性を明らかにする。

 

基盤研究(S)一般、R1-R5年度、研究分担(研究代表:山本正伸)

過去600万年間にわたる大気中二酸化炭素濃度と気候の相互作用の解明

研究目的の概要:温室効果は地球表層の温度を決める重要な要素であり,過去の大気中CO2濃度を復元することは,地球の気候の歴史を考えるうえで極めて重要であるが,80万年前以前のCO2濃度の精密復元は行われていない.本研究では,ベンガル湾の堆積物コアに含まれる長鎖脂肪酸の安定炭素同位体比を測定し,600万年前から150万年前の大気中CO2濃度を復元する.得られたデータにもとづき,鮮新世における気候感度(CO2濃度と気温の関係)を推定する.さらに,過去600万年間のCO2濃度と海洋深層水温度・気温・氷床量変動との関係から,CO2濃度変動の原因を考察し,CO2と気候の相互作用を解明する.

 

基盤研究(A)一般、R1-R5年度、研究分担(研究代表:菅沼悠介)

東南極沿岸での海域-陸域シームレス掘削による最終間氷期以降の氷床変動史の復元

研究目的の概要:近年,南極氷床の融解や流出の加速が相次いで報告され,近い将来の急激な海水準上昇が社会的に強く懸念されている.そこで本研究は,世界で初めて南極沿岸の湖沼から浅海・深海において時空間的に連続な地層を採取する「シームレス掘削」を行い,海水準上昇の将来予測の高精度化に不可欠な,最終間氷期(約12.5万年前)以降の東南極氷床量変動の定量的復元と,融解開始年代の決定を行う.本研究で確立する国際協力体制と,新開発の地層掘削システムおよび「シームレス掘削」の多方面展開は,南極氷床融解研究における新たな突破口となる.

 

基盤研究(S)一般、H29-R3年度、研究分担(研究代表:飯塚芳徳)

世界一の確度をもつ過去200年間の沈着エアロゾルのデータベース創成と変遷解明

研究目的の概要:地球温暖化に代表される近未来の環境変動は、科学的な研究データの収集(データベース)の増加とデータベースに基づくモデル計算により予測される。いかに近年のモデル計算能力が向上しても、データベースが不十分であれば近未来の環境変動予測の誤差は大きくなる。近未来の気温変動に寄与する主な環境指標は温室効果ガスとエアロゾルであり、これらの変遷はデータベースとして広く公開されている。産業革命からの変遷データベースはアイスコアから作成することができるが、積雪内部でエアロゾルが変質するため、これまで確度の高いデータベースを提供できなかった。本研究は高涵養量のためエアロゾルが変質を受けない特別な地域でアイスコアを掘削し、世界で最も確度の高い過去200年間のエアロゾルのデータベースを公開する。また、アイスコアの最新の分析技術を駆使し、過去200年間のエアロゾルの変遷をもたらした大気化学プロセスを解明する。これらの成果は確度の高いデータベースの提供することで環境変動予測の高度化に寄与し、その結果としてIPCCなどグローバルな環境政策に貢献する。



新学術領域研究(研究領域提案型)、H29-R3年度、研究分担(研究代表:川村賢二)

熱ー水ー物質の巨大リザーバ:全球環境変動を駆動する南大洋

南大洋の古海洋変動ダイナミクス(班長:池原実)

研究目的の概要:南大洋は負の熱とCO2 をはじめとする物質の巨大リザーバであり、全球気候変動の鍵を握る。南大洋を特徴付ける南極周極流(ACC)や海氷、表層成層化などの変動は全球気候変動を駆動するキープロセスとされるが、それらの変動の実態は未解明である。そこで、ACCとウェッデルジャイアを海氷の移流や分布の支配要因であり、亜熱帯と南極圏を隔てる熱的障壁でもあると捉え、それらの変動史を異なる時間スケールで復元する。南大洋における古海洋変動を精度良く復元するための古環境指標(プロキシ)の開発と高精度化を行い、それらを海底コア解析に応用する。近未来の温暖化地球のアナロジーとなるスーパー温暖期を含む第四紀の氷期-間氷期サイクル、および、鮮新世温暖期から第四紀への全球寒冷化における南大洋の変動を復元し、ACC・ウェッデルジャイアと海氷移流の南北・東西シフトと全球気候変動との相互作用の実態を解明する。これにより、新学術領域研究の達成目標である「鮮新世/更新世の全球的寒冷化と氷期-間氷期サイクルにおける南大洋・南極氷床変動の復元と理解」に貢献する。

 

基盤研究(A)一般、H29-R1年度、研究代表

最終間氷期の突然かつ急激な南極氷床崩壊イベントの検証とメカニズムの解明

研究目的の概要:近年、地球最大の淡水リザーバである南極氷床の融解や流出が明らかになり、温暖化の進行によって海水準が大きく上昇する懸念が高まっている。現在よりも僅かに温暖な最終間氷期末期(13-11.5万年前)には、6mもの急激な海水準上昇があったと報告されており、これが事実であれば、南極氷床の大規模融解が起こっていたことになる。過去の温暖期に、南極氷床の大規模融解が本当に起こっていたのか?最終間氷期と同様の南極氷床の大規模融解が、現在進行中の温暖化によって将来起きるのだろうか?本研究では、最終間氷期における南極氷床縁辺域の海洋変動(水温,塩分,IRD)を復元し、南極氷床の大規模崩壊が南極大陸縁辺部のどこで発生したか、氷床崩壊の契機となった気候・海洋条件(水温などの臨界点)を明らかにする。

 

基盤研究(B)一般、H29-R1年度、研究分担(研究代表:堀川恵司)

氷河融解によるアラスカ湾の生物相への影響:堆積物の地球化学・分子生物学的解析

研究目的の概要:申請者は,有孔虫殻の微量元素分析(Ba/Ca)から過去の海洋表層塩分を推定する方法を確立した。また,それと独立した塩分推定法の有効性も明らかにしてきた(四不飽和アルケノン;Horikawa et al., 2015 Nature Communications)。本申請では,新規の塩分推定法をアラスカ湾に適用し,過去の氷河融解イベントにおける氷河融解量の推定を行う。また,その氷河融解量に対するアラスカ湾の基礎生産の応答(生物量・種構成)をバイオマーカーと環境DNAから定量的に解析する。これらのデータを基に,温暖化による氷河融解が懸念されているアラスカ湾の環境応答の理解を大幅に深め,将来の環境への示唆を引き出す。

 

基盤研究(A)海外学術、H29-R2年度、研究分担(研究代表:岡崎裕典)

ベーリング海堆積物掘削:氷期ー退氷期の北太平洋中深層水の起源と時空間変動解明

研究目的の概要:最終退氷期(約2万年前から1万年前)は最終氷期から温暖な完新世への移行期であり、氷床崩壊に伴う海洋循環様式の変化によって1000年スケールの急激な気候変動が起こったことが知られている。本研究では、申請者らが提唱した最終退氷期における北太平洋起源の深層水形成の実態を解明するため、ロシア船Multanovskiy号に乗船し、最終退氷期における北太平洋中深層水の想定起源域であるカムチャッカ海峡(ロシア排他的経済水域)において、海底堆積物を採取する。海底堆積物記録から復元したカムチャッカ海峡における海洋循環速度と鉛直水塊構造を古気候モデルシミュレーションの結果を比較し、1000年スケールの北太平洋起源の中深層水形成量変化を明らかにするとともに、最終退氷期の気候変動における北太平洋海洋循環の役割を解明する。

 

基盤研究(B)一般、H28-H30年度、研究分担(研究代表:岡崎裕典)

最終氷期以降の太平洋子午面循環と気候変動

研究目的の概要:海洋大循環は膨大な熱と二酸化炭素などの物質の輸送を担い、数十年から1000 年オーダーの地球規模気候変動に重要な役割を果たしている。研究代表者らは、最終退氷期に深層水の形成場が北大西洋から北太平洋にスイッチしたという、現在と全く異なる循環様式の存在を明らかにし、1000 年オーダーの地球規模の気候変動が生じる要因として大西洋と太平洋の子午面循環交代が鍵を握るという仮説を立てた(Okazaki et al., 2010, Science 329, 200-204)。本研究では、太平洋子午面循環の要である北西太平洋を対象海域とし、北太平洋における水塊構造と循環速度の変化を海底堆積物記録から復元することで、最終氷期から最終退氷期における太平洋子午面循環像を描画し、大西洋と太平洋間の子午面循環交代と気候変動の関係に答えを出すことを目的とする。

 

新学術領域研究(研究領域提案型)、H27-H31年度、連携研究者(研究代表:安田一郎)

海洋混合学の創設 ~物質循環・気候・生態系の維持と長周期変動の解明~

北太平洋の海洋低次生態系とその変動機構の解明、連携研究者(班長:原田尚美)

研究目的の概要:海洋生物生産の増減を決定する要因は光、温度、栄養塩である。光と温度は緯度毎に日射量の季節変動によって規定されるが、栄養塩の供給機構は複雑で未だ解明されていない。そこで、世界で最も生物生産による二酸化炭素吸収能力の高い西部北太平洋を対象とし、鉛直混合や海流変動などの物理過程と栄養塩供給過程の変化に対して海洋生物の生産がどう応答するのかを明らかにし、水温・塩分・栄養塩等の水塊特性と比較することで亜寒帯から亜熱帯まで各海域の低次生態系を規定する支配要因を明らかにする。具体的には、亜寒帯域の栄養塩供給機構として重要かつ気候の内部変動要素であるアリューシャン低気圧に着目し、大気変動に対する海洋力学の応答や、潮汐混合など海洋内部の物理環境の変化とそれに伴う生物過程の変化を把握する。亜熱帯域では、突発的な低気圧擾乱による局所的な鉛直混合、中規模渦、定常的な海流による輸送など多様な栄養塩供給の物理機構が生物生産に及ぼす影響を推定していく。

 

基盤研究(B)海外学術、H27-H29年度、研究分担(研究代表:山本正伸)

ボルネオ島泥炭掘削:過去4000年間の熱帯大気対流活動の復元

研究目的の概要:ボルネオ島において泥炭コアを採取し,そのミズゴケのセルロースの酸素同位体比を分析することにより,過去4000年間の熱帯対流活動の高解像度復元を行い,西太平洋熱帯域の大気対流活動の変動を復元する.その変動の周期と振幅から,変動の起源と伝搬過程を考察する.また,草本類のセルロース酸素同位体比,花粉・胞子組成,微粒炭組成を分析することにより乾湿変動と人為的火入れの影響の時代的変化を復元し,ボルネオ島の気候と大気対流活動との対応関係を検討する.

 

基盤研究(B)一般、H26-H28年度、研究代表

大気中二酸化炭素濃度変化に駆動される新生代後期の全球寒冷化メカニズムの解明

研究目的の概要:300 万年前頃に始まった北半球氷床の発達は、それまで続いた温室地球から両極に巨大な氷床が存在する現在の気候状態をもたらした重大な転換イベントであり、地球の気候システムを理解する上で鍵を握る。しかし、北半球氷床の発達の原因とメカニズムを矛盾なく説明した説はなく、様々な問題点を抱えている。申請者は、過去1000 万年間の大気中CO2 濃度を高精度で復元し、CO2変動が長期的な全球の寒冷化を駆動していることを見いだした。本研究では、北半球の氷床発達を含めた新生代後期の全球寒冷化の背景には、約700 万年前から起こったパナマ海峡の著しい浅化・南大洋高緯度の寒冷化・大気中CO2 濃度の低下に原因があるとする仮説(新パナマ・ゲートウェイ仮説)を呈示し、この新仮説を新規の南大洋古海洋データとモデルから立証する。

研究目的の詳細はこちら

 

基盤研究(A)海外学術、H26-H30年度、研究分担(研究代表:飯塚芳徳)

グリーンランド氷床コアに含まれる水溶性エアロゾルを用いた人為的気温変動の解読

本研究では、人為起源の水溶性エアロゾル濃度・組成・同位体比という地球温暖化の解釈に重
要で、かつ新しい環境指標を抽出して、グリーンランド氷床コアから過去300 年の気候変動に特
有な古大気環境を解読する。申請者は氷コアからエアロゾル組成の情報を抽出するなど世界的に
見ても独創的な方法を開発し、氷床コアに含まれる自然起源の硫酸塩エアロゾルが氷期-間氷期気
温変動に貢献していることを解明した。本研究はその継続課題として、過去300 年間の人為起源
水溶性エアロゾルに着目し、その組成や同位体比の変遷から、水溶性エアロゾルが気候変動に与
える影響評価の高精度化を目的とする。これは、人為起源水溶性エアロゾルをこれまでにない環
境シグナルで再追跡することになり、従来の解釈を更新する独創的な成果が期待される。