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担当講義

開講中の講義 (2011年度前期)

2011年度全学教育一般教育演習(フレッシュマンセミナー)
「無重力の科学」

受講対象:学部1年目〜

開講時間:毎週金曜日5講目(16:30-18:00)

講義の内容:
 スペースシャトルや宇宙ステーションで人間が居住するようになり、無重力におけるさまざまな現象を見聞きする機会も増えている。さらに、無重力の環境を利用して、さまざまな科学実験が実施されてきた。重力の制限を解き放つことによって、これまで知られていなかった新しい現象までも発見されることもある。
 講義は、無重力とはどのようなものか、無重力はどのように作るのか、などの基礎的事項を学ぶことから開始する。さらに、北大やその他の研究機関から講師を招いて、最先端の無重力実験の実際についても学ぶことを予定している。さらに、講義の終盤では受講者自らが、無重力環境を利用してどのような実験が将来可能かを考察する。
 本演習では、受講者からの提案によって、将来性のある無重力実験テーマが生まれてくることを期待している。す ぐれたテーマが提案された場合は、宇宙航空研究開発機構が例年7−8月ごろに募集する「航空機を使った学生のための微小重力実験テーマ公募」にもそのテー マを応募することも目標にしている。この公募によってテーマが採択された場合は、実際に航空機のパラボリック飛行の機会が与えられる。パラボリック飛行では、1回で20秒間の無重力環境を得ることができ、搭乗者は無重力を体験することができる。本演習の受講者の中から、無重力環境の体験者が生まれ、無重力実験の理解を深めることを目標にする

授業計画:
 以下のようなテーマについての講義と演習を行う。講師としては、担当教員だけではなく、学内外の無重力環境に関連する研究を行っている教員もゲスト講師として迎える予定である。
1) 無重力とは、本当に重力が無いのだろうか?どのような環境なのだろう。
2) 無重力環境はどのようにしたら作れるのだろうか。
3) 無重力環境でどのような物理現象が観察されるのだろうか。
4) 無重力環境を利用した実験のテーマを考えてみよう。
5) その実験テーマはどうしたら具体化できるだろうか。
6) 学内外からの特別講師による講演と議論。
7) その他、無重力に関連するさまざまな物理・工学的な話題を取り上げる。
8) 無重力実験のテーマを論文にまとめることにより、論文執筆の基礎を学ぶ。

授業スケジュール
(本スケジュールは、予定です。都合により変更する場合があります。):
1回目(4月15日) ガイダンス 古川・佐崎(低温研)
2回目(4月22日) 受講者自己紹介 イントロダクション(無重力環境とは?)
古川・佐崎(低温研)
3回目(5月6日) 微小重力実験の実際1 
佐崎 元(低温研)
4回目(5月13日) 微小重力実験の実際2
ゲスト講師:塚本勝男先生(東北大学)
5回目(5月20日) 学生のための航空機実験コンテスト 
ゲスト講師:木暮和美先生(日本宇宙フォーラム)
6回目(5月27日) 図書館情報入門
7回目(6月10日) 微小重力実験の実際3
ゲスト講師:藤田修先生(工学部)
8回目(6月17日) 微小重力実験の実際4
ゲスト講師:吉崎泉先生(宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所)
9回目(6月24日) 低温科学研究所(地図)の見学:二階講義室(215号室)に16:35に集合してください.昨年度,学生微小重力実験コンテストに参加した本講義受講生の皆さんに体験談を話してもらい,装置を見学した後,我々の実験室,低温実験室を見る予定です.
10回目(7月1日) 航空機実験テーマの議論、申請書検討(1) 古川・佐崎
11回目(7月8日) 航空機実験テーマの議論、申請書検討(2) 古川・佐崎
12回目(7月15日) 航空機実験テーマの議論、申請書検討(3) 古川・佐崎
13回目(7月22日) 航空機実験テーマの議論、申請書検討(4) 古川・佐崎
14回目(7月29日) テーマ発表会 古川・佐崎
15回目(8月5日) 最終回は,航空機実験テーマの申請書完成に向けた個別ガイダンスで代用する予定。

10回目の講義以降、「学生のための航空機実験コンテスト」に向けて、2人程度のグループごとにテーマを議論します。これを、論文(提案書の形式)にまとめていただきます。最後に、パワーポイントによるテーマ発表を行う予定です。
優れた論文は、このコンテストに応募して審査を受け、採択された場合には航空機による実験を実際に行っていただきます。本講義の受講生の提案した課題か ら、2009年度(第7回コンテスト)には1件、2010年度(第8回コンテスト)には2件が採択され、実際に航空機実験を実施しました。その内容は、下 記のwebsiteに紹介されています。

http://iss.jaxa.jp/education/parabolic/

無重力(微小重力)実験に関するさまざまな情報のあるwebsite:
 以下のwebsiteでは、無重力(微小重力)実験に関するさまざまな情報が掲載されています。

  宇宙航空研究開発機構  http://www.jaxa.jp/
  学生無重力実験に関する情報 http://iss.sfo.jaxa.jp/education/parabolic/
  国際宇宙ステーション・きぼう http://iss.jaxa.jp/iss/
  現在までになされた宇宙実験の概要 http://kibo.jaxa.jp/experiment/
  宇宙ステーション「きぼう」での氷の結晶成長実験
    http://kibo.jaxa.jp/experiment/theme/first/ice_crystal_start.html
    http://microscopelabo.jp/trend/008/

  日本宇宙フォーラム http://www.jsforum.or.jp//
  ダイヤモンドエアサービス http://www.das.co.jp/new_html/index-flash.html

  National Aeronautics and Space Administration (NASA)
    http://www.nasa.gov/home/index.html
  European Space Agency (ESA) http://www.esa.int/esaCP/index.html

  日本マイクログラビティ応用学会 http://www.jasma.info/
  日本航空宇宙学会 http://www.jsass.or.jp/web/index.php
  日本宇宙生物学会 http://www.jsbss.jp/
  日本宇宙航空環境医学会 http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsasem/

  参考図書のpdfファイル「微小重力実験の基礎」
    http://idb.exst.jaxa.jp/microgravity/index.htm

参考図書:
理科系作文技術
 「理科系の作文技術」
  木下是雄、中公新書624 (1981)
 「理科系の論文作法:創造的コミュニケーションの技術」
  高木隆司、丸善ライブラリー246(1997)

微小重力関連
 「重力の話」
  ジョージ・ガモフ、現代の科学1、河出書房新社(1967)
 「宇宙実験最前線」
  日本マイクログラビティ応用学会編、BLUE BACKS B1135、講談社(1996)
 「宇宙環境利用への挑戦」
  桑野 龍士、NECライブラリー、NECクリエイティブ発行 (2000)
 「宇宙環境利用のサイエンス」
  井口洋夫監修、裳華房 (2000)
 「宇宙実験最前線」
  日本マイクログラビティ応用学会編、ブルーバックスB1135 (1996)
 「宇宙環境の利用」
  栗木恭一、フロンティア・テクノロジー・シリーズ 21 丸善(1988)
 「宇宙実験レポート」
  毛利衛、講談社文庫も23、(1995)
 「宇宙環境と材料・バイオ開発」
  栗林一彦編、CMCテクニカルライブラリー、シーエムシー出版(2001)
 「軌道上実験概論・宇宙・流れ・生命」
  小田原修監修、日本マイクログラビティ応用学会編 海文堂(2000)