ガラス化対策

MS培地のプレート上でシロイヌナズナを育てていたところ、茎や葉が透明化する
現象がおこりました。
この現象は研究者の間では「ガラス化」と呼ばれているようです。
ガラス化がおこると、植物をプレートから土に移し替えたときに高頻度で枯死して
しまうため、様々なガラス化対策を試してみました。

・ 培地の厚さを薄くする。
・ 光源である蛍光灯から離す。
・ 植える植物の密度を下げる。
・ プレートをよく乾燥させる。
・ プレートを、サージカルテープでシールする、またはシールしない。
などを行ないましたが、大きな効果を得ることは出来ませんでした。

シロイヌナズナメーリングリストでいろいろサジェスチョンをいただきました。
それをヒントに以下の方法を考案しました。

通常の0.8%アガー(MS+Kanamycin(Km)) の上に、薄く、1.5%agar MS+Kmを
のせてみました。

結果は、一目瞭然でした。
0.8%agarのMS+Km培地では、ほとんどが、ガラス化し、黄色くなり、
0.8%agar MS+Kmの上に、薄く1.5%agar MS+Kmを乗せたものは、きちんと育っています。
 
このような差が、他のプレートにおいても、同じ様に見られることから、
この二層構造の培地は、ガラス化に有用だと思います。
 
培地から、植物を抜く時も、上の層の1.5%agarは薄いため、
簡単に裂けて、根を傷つけることなく取ることが出来ました。
 
欠点としては、種を蒔く時に、比較的深く埋め込む必要があることだと思います。
種を培地の上に乗せると、根が1.5%agarの上に作られ、
水分の吸収が悪いためか、0.8%agarに根を張るものより、成長が遅い/弱い 様に感じます。
そして、1.5%agarに根を作られると、植物を抜く時に根を傷つけやすいと感じました。
2005.9.5
中川原




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