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オーバーフロー水槽

海水魚やサンゴを水槽内でうまく飼育するためには,海水をキレイに保つことがとても重要です。とくに,pHが6-7の淡水に比べて,pHが8付近の海水では,
 

アンモニア ⇄ アンモニウムイオン (pKa = 9.25)
 
の平衡が魚にとって強毒である「アンモニア」側に移行しますので,「給餌→排泄→アンモニア濃度の上昇」に,とくに注意を払わなければなりません。

 

Beman et al., 2010 PNASより
 
当研究室では,内部フィルター,底面フィルター,上部フィルター,外部フィルター,オーバーフロー+ろ過槽,背面ろ過など,様々な「浄化」の方法の中から,研究の目的,対象魚種,飼育個体数,水替えの頻度,コストなどを考えて,常に最適な「浄化法」を選ぶようにしています。
 
「オーバーフロー+ろ過槽」という浄化法は,下図のように,魚やサンゴを飼育する「水槽(飼育槽)」 と,水を浄化する「ろ過槽」 で構成されます。
 

 
この浄化法は,
  • ろ過槽で浄化された水をポンプで汲み上げて水槽に送る
  • 水槽にはパイプが取り付けられており,溢れた(パイプの高さを超えた)水が,パイプを通ってろ過槽に落ちる
  • ろ過槽では,物理ろ過,生物ろ過,化学ろ過により,水を浄化する

というサイクルで海水をキレイにします。普通の水槽に比べて,多量の海水,多量のろ過剤が入るので,水質が安定しやすく,多くの個体を飼育することができます。そのため,キレイな水での飼育が必須のサンゴや海水魚でも,比較的低頻度の水替えで飼育することができます。
一方で,「水槽の底面にゴミが溜まりやすい」,「選べる水槽の自由度が低い」という2つのデメリットがあります。溢れ出る水がろ過槽に落ちるので低層水の循環が弱く,低層水や底面に敷かれている砂には汚れが溜まります。また,お店で売られている「ふつうの水槽」には,様々な形・種類がありますが,「オーバーフロー用の水槽」は,残念ながら形も種類も限られており,また「ふつうの水槽」に比べるとかなり高価です。
 
これらのデメリットにより,これまでは研究目的の飼育に,「オーバーフロー+ろ過槽」はあまり利用されてきませんでした。しかしこの数年,底面に敷く砂の性能が非常に良くなったことで,「オーバーフロー+ろ過槽」を選択することが多くなりました。また「ふつうの水槽」に,穴を明け,パイプを通し,仕切りを設置するなどして,「オーバーフロー+ろ過槽」を自作することができれば,「オーバーフロー+ろ過槽」はさらに利用しやすい浄化法になります。
 

自作中の風景

水槽に穴を開ける
パイプの台座の接着
塩ビ管の切断

自作した 「オーバーフロー+ろ過」 水槽の例

【2段ろ過水槽】
上段:飼育槽,中段:リフジウム槽,下段:ろ過槽
多段式,大型ろ過槽の低温飼育タイプ
【1段ろ過水槽】
上段:飼育槽,下段:ろ過槽
25℃前後の飼育に用いるスタンダードなタイプ
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