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研究者を志す皆さんへ

研究者(大学教員や研究所の研究者)として生きていくことを目指し,それを実現するためには,大学院の修士・博士課程の期間に,将来にわたるロードマップ(いつまでに何を学び,何を成し,将来はどのような研究を展開したいか,の道筋)をよく考えながら,1年1年を過ごすことが重要だと思います。そして,「そのロードマップをスタートさせることできる研究室」 and/or 「自分の価値観に合う研究室」を選び,そこで大いに学ぶことが,実現に向けての第一歩だと思います。
以下に,ロードマップを考えるうえでの素材(我々が,考えていること,重視していること,指導していることなど)を載せました。研究室選びの,もしくは,ロードマップを考えるための,参考にして下さい。
 


スタイルと貢献度

研究のスタイルには,大きく分けて,「問題解決型(ナビゲーター)」「技術型(マイスター)」「バランス型」があります。また貢献スタイルには,「牽引型」と「一般化型(標準化型)」があると私は思います。 
どれが良い悪い,有利不利,というものではなく,これらの研究・貢献スタイルの利点と欠点をよく考慮して,自分の性格やロードマップに合うものを選んでいくことが重要です。
 

研究スタイル


 
問題解決型は,

  • 利点:問題解決に焦点を絞り,適切な手段(技術)を探し,効率的に研究を展開できる
  • 利点:短期間で成果がでる
  • 欠点:技術志向型の研究者と,“良い関係”の連携が必須になる
  • 欠点:技術の質(得られるデータの質)を無視した研究を進めがちである

 
技術型は,

  • 利点:自分の技術を研究の基板にして,自由な研究が展開できる
  • 利点:技術の質(得られるデータの質)に基づいて,正しい精度で課題を解くことができる
  • 欠点:問題解決が目的ではなく,技術の先鋭化が目的になりがちである
  • 欠点:技術の習得に時間がかかる

 
バランス型は,

  • 利点:双方の良いところを併せ持つ
  • 利点:自由度が非常に高い
  • 欠点:スタートダッシュが効かない(技術面,問題解決面の双方の知識が必要)

という利点と欠点(注意点)を持っています。

 

貢献スタイル


牽引型は,

  • 利点:only oneの技術や方法論に基づいて,研究の発展を牽引するすることができる
  • 利点:分野のコミュニティでトップを維持しやすい(イニシアチブを持ちやすい)
  • 欠点:全体から見ると,研究の進みが遅く,真実になかなか近づけない

 
一般化型は,

  • 利点:only oneの技術や方法論を標準化・簡易化・汎用化し,牽引型の研究に対して,信頼性を担保し,サイエンスを大きく前に進めることができる
  • 欠点:分野のコミュニティで,競争率を上げてしまう(イニシアチブを持ちにくい)

という利点と欠点(注意点)を持っています。